労務トラブル事例集
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降格(人事権行使)

一口に降格といっても法的には人事権の行使による降格と懲戒権の行使による降格があります。
ここでは人事権の行使による降格について考えます。なお、懲戒権の行使による降格については後掲懲戒処分を参照してください。

人事権は一般的に、採用、配置、異動、人事考課、昇進、昇格、降格、休職、解雇等労働者の処遇に関する使用者の決定する権限とされています。そうすると人事権を行使して、ある特定の者を降格させることは容易そうですが、ここでも制限があり、使用者が人事権の裁量権を逸脱しない必要があります。
(東京地裁平成2年4月27日)

この裁量権についても使用者の権限としてどこまで認められるものなのか個別に判断するしかないのですが、参考判例として次のようなものがあります。

@企業において、昇格、降格等の裁量権は、その労働者の誰を昇格させ又はその地位にあった者を業績不振、業務不適格を理由として更迭することは使用者の人事権の裁量的範囲内であるとして広汎な裁量権を認めた判例(神戸地裁平成3年3月14日)。
A企業が降格の事由として主張している事実は、その行為の動機及び態様からして労働者の違法性は軽微であると認められるから、人事権の行使として行われた降格であっても権利の濫用にあたり無効とした判例(東京地裁昭和62年9月29日)。

トラブル予防のためのポイント

このように、人事権の裁量権の範囲について、確立されたものはありません。
従ってこの問題については今後の判例を注意深く見守る必要があります。
ただ、ここでの注意点として、使用者がある労働者を降格させた場合、その権限の剥奪だけでなく、義務も取り去らなければなりません。例えば、管理職から一般労働者へ降格し、これに伴い賃金も減額となった労働者に対し、使用者がその管理職当時と同じ管理業務を与えているような場合、降格処分無効とされます。お気をつけ下さい

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