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就業規則 〜就業規則の効力と裁判例〜

事例 @賞与
毎年6月と12月に賞与を支給していた会社で、すでに3月に自己都合退職した者が、6月になったとき、賞与を支払えと訴えた。

判 決 >> 裁判所は、賞与の一部支払を命じました
理 由 >> 就業規則には、退職した者には賞与を支給しない旨の明示がなかった。

従って考課期間である12月から5月までの内、3月分までの6分の4の支払が命じられました。

トラブル予防のための対策

就業規則に、「賞与の支給対象者は、その支給時点において在職していること」との文言を入れておきます。事実、他の判例でこの規定は適法であるとされています。
ただ、考課期間中の在籍者には、賞与を支払っている企業もあります。
しかしながら、この企業のように意に反した支払はなくすることができます。

事例 A退職金
従業員が退職した。しかしながらその従業員が在職中に重大な違法行為をしていたことが後日発覚した。そこで会社は退職金を支払わなかったが、従業員はこれを不服として会社を相手取って退職金をよこせと訴えた。

判 決 >>裁判所は、会社へ退職金の支払いを命じました
理 由 >>退職金は賃金の一種であって、その請求権は退職と同時に具体的に発生ものとされています。

従って退職後に違法行為を発見してもそれのみを理由として、退職金の支払拒絶はできないという理屈です。

トラブル予防のための対策

就業規則に「退職金の支給は、退職日以後○週間(○箇月)経過日に支給する。但し、在職中の重大な違法行為が発覚した場合には退職金の支給を行わないことがある。」旨の文言を規定してくことで意に反した退職金の支給が避けられる可能性が高いと考えられます。

事例 B懲戒解雇
会社が、業務上都合により何度か時間外労働を命じたが、労働者がこれを拒否したため、懲戒解雇処分とした。これに対し労働者はこれを不服として訴えた。

判 決 >>裁判所は、懲戒解雇処分を無効としました。
理 由 >>就業規則に「時間外・休日労働を命じることがある」という旨の記載がなく、また三六協定の労働基準監督署への届け出がなかった。このため時間外・休日労働を命じることはできないとされました。

トラブル予防のための対策

就業規則に上記記載をし、さらに三六協定を届け出ることにより、会社の秩序が守られます。

この他就業規則に関する最高裁判例に次のものがあります。
就業規則は、それが合理的労働条件を定めているものである限り、企業側と労働者との間の労働条件はその就業規則という事実たる慣習が成立している。労働者は、就業規則の存在及び内容を現実に知っていると否とにかかわらずまた、これに対して個別的に同意を与えたかどうかを問わず、当然にその適用を受ける。
またこんなところから「就業規則は企業の憲法である」といわれています。
これらの判例は、個々の複雑な経緯等があり、すべての判決においてこのとおりの結果が出るとは限りません。しかしながら、リスクマネジメントということにおいてはこれら判例を十分に認識しこれに対応する必要があります。

整理解雇 | 労働条件の不利益変更(その1)