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競業避止義務 〜従業員退職後の競業避止義務について〜

在職中には、従業員は企業の利益に反する競業をしてはならないのはいうまでもありません。

よく問題としてあがるのは、従業員が退職後、競業関係にある同業他社へ就職した場合又は自分で同業社を開業した場合です。
この場合、一般的には従業員であった者が競業避止義務を負うことはないと考えられます。
たとえ就業規則に「退職後○年間は、同業他社へ就職しないこと」と規定されていても同じです。
就業規則の効力が及ぶのは、あくまでも在職中の従業員が対象になるからです。

但し、就業規則に「退職後同業他社に就職したときは、退職金を2分の1にする」という規定を有効とした最高裁判決(S52.8.9)もあります。
これは「営業担当者であった者に退職後同業他社への就職を、ある期間を定めて制限するのは、職業の自由を侵すものではない」としたものです。

しかしながら、終身雇用制度が崩壊し、雇用流動化が進んだ現在において上記判例がそのまま維持されるかどうかは疑問です。事実、下級審判決(H1.6.26名古屋地裁)では退職金の没収を認めなかったものもあります。

このように、一般的には労働者であった者が競業避止義務を負うものではなく、また退職金の没収又は減額が有効となるには従業員であった者が前会社に対して著しい背信行為をした場合など(例えば、大幅な顧客の奪取、他の従業員を大量に引き抜くなど)に限られると考えられます。

労働条件の不利益変更(その2) | 解雇